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私と『小恋』

私と『小恋』_d0076971_23132815.jpg年末の慌ただしい季節となりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、『小さな恋のものがたり』(作者:みつはしちかこ)という叙情まんがを御存知でしょうか(まんがだけでなく、主人公の心情を「詩」に載せるということで叙情まんがと呼ぶそうです。)。 小柄な女の子チッチこと小川チイコと、背が高くハンサムなサリーこと村上聡の恋愛模様を描いた作品で、作者の高校時代の片思いの失敗エピソードから主人公のチッチが生まれたそうです。

私と『小さな恋のものがたり』(以下『小恋』と書かせていただきます。)との出会いは、確か小学生高学年の頃だったかと思います。地元の図書館で偶然単行本を手に取って読んでみたところ、音符足?の小さな女の子が一生懸命に頑張っている姿が描かれていて、とてもかわいらしかったのを憶えています。私自身もどちらかというと小柄で、当時なんとなく主人公のチッチに親近感も覚えました。作中ではところどころチッチの気持ちが詩で表現されているのですが、まだ小学生だったため内容はあまり理解できなかったかもしれません。ただ季節に合わせた挿絵がとても印象的だったのを憶えています。私は漫画を読み終わった後、最後にあとがきを読むのも大好きで、連載の苦労話やペットのワンちゃんの話など、とても楽しく読んでいました。

『小恋』は毎年5月か6月に新刊が発行され、2007年には第41集が発行されましたが、その後作者の体調不良のため中断となっていました。ところが今年11月に第42集が発売され、私はとても喜びました。早速購入して、まず作者の体調が気になっていたので、あとがきから読み始めました。

あとがきを読み進めるうちに私は涙ぐんでしまいました。

中断のあいだ、御自身の入院にご家族の不幸が重なり、『小恋』を描く意欲がわかず途方にくれていたそうです。ようやく『小恋』を描く意欲がでてきた矢先、今年3月の大震災と原発事故で、また描けなくなったそうです。しかし、実際に被災された方からの励ましのお手紙で勇気をもらい、再び描きはじめることができたそうです。
 私も作者と同じく、被災されてもなお、その中から日本人としての気付きと感謝を見出す逞しさに感動し、改めて平穏な日常の大切さを噛み締めて生きていこうと思いました。

『小恋』がはじめて描かれてから今年で50年だそうです。まだ読まれたことのない方は是非一度手にとってみてはいかがでしょうか?
mietan

# by mitakamusasino | 2011-12-10 23:14  

11月の悲喜こもごも

先月10月12日に亡くなった劇作家 斎藤 憐(さいとうれん)さんの「上海バンスキング」は昔、大ヒットしましたね。遺作となった「アメリカン・ラプソディ」で、「人はだれも、ひとりならとても賢く、ものわかりがよい。だが、群れをなしたとたんに馬鹿になってしまう」と、登場人物に語らせています。

この言葉を聞くと、最近の大会社のトップたちのモラルの欠如、大王製紙の前会長が100億超というお金を借り入れ、それをギャンブルで使っていたという話などが想起されます。億という金を貸す子会社も、よくそれだけの金を瞬時に用意できたものだと驚きます。
またオリンパスの企業統治システムは野放し状態でした。会社買収(M&A)で失敗して20年にわたる損失隠しをし、歴代の社長が受け継ぎ粉飾していた。それが外国人の社長の指摘で初めて明るみに出たというのは、日本人の仲間内体質では、どうにもならないことなのか?と、情けなくなります。

監査役も加担しており、監査法人が何も機能していないというのは、何か後ろめたいことがあるのでしょうか。住所も個人名も載せない監査法人の報告文書が出てきましたね。
真面目に物づくりに励んでいるオリンパスの社員たちが気の毒です。金儲けに走らず、せっかく築いた、内視鏡のシェア75%の最先端の技術を、誇りを持って、より人の役に立つ高度な物づくりへと邁進してもらいたいものだと思います。

オリンパスの元専務で、オリンパスメディカルシステムズの元社長を務めた宮田耕治さんが「今こそ立ち上がろうと呼びかけたい」と、解任されたマイケル・ウッドフォード元社長の復職を求める声を挙げるよう、"草の根"の現役社員に呼びかけるWebサイト「OLYMPUS grassroots.com」を11月12日付で公開しました。
上場廃止の危機に瀕している「オリンパス丸は沈没寸前」だが、「まだチャンスはある、今行動を起こせば」と訴えています。

また、読売新聞の主筆 渡辺会長をめぐる「言った」「言わない」「聞いてない」など、巨人の騒動もお粗末でしたね。これもオリンパスと確かに似ていると思うのは、上にモノを言えない組織の体質です。ふだんなかなか言えないからこそ、あのようないきなりの“非常手段”に訴えたのかもしれません。
誰かがあれは「(忠臣蔵の)松の廊下だ」と評していましたが、日本のサラリーマンの大半は、あの手段に出た人に共感する男性が多いそうです。情けないと思いながらも、「我が身可愛さ」で結局は長いものに巻かれている日本人が、いかに多いかということでもありますね。

リビアのカダフィ大佐などの例を持ち出すまでもなく、やはり、長い権力の座は必ず腐敗するということです。(「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」ジョン・アクトン)
大新聞の”主筆” だということを考えれば、昨今は「社会の木鐸」たるべき新聞の劣化や私物化が目に付き、今や社会の信頼を失って来ました。それでなくても新聞離れが激しい現代なのに、とても残念なことです。

何か暗い話になってしまいましたが、明るい話題を一つ、前にご紹介した「松崎さち」さんのポストカード展が12月4日(日)11時から18時、産業プラザ・チャレンジショップで開かれます。今回は1日間だけですから、お見逃しなくどうぞ!
またあの可愛らしい版画に出会えますよ。

それから先日”GNHの国”、ブータンの国王夫妻がみえましたね。その民族衣装姿は、自国の生き方に誇りを持って「私たちは(経済力ではなく)幸福度を求めて生きる民族なんです。」と、主張しているように感じられました。
ブータンは、GNPではなくGNH(Gross National Happiness)を前国王が提唱して実践していますが、全ての生き物、動物、植物を思いやることで、自分たちの幸福があるという共生の国なんだということも、よくわかりました。東北の被災地にも行かれお祈りをされている姿を見ると、私たちが物質欲や個人の利益にばかりこだわって、忘れてしまった日本人の古き良き姿を、むしろブータン国王に見る思いでした。

折りも折り、欧州や米国が金融の危機に瀕しているこの時に来日されたというタイミングも、何かを物語っているように思えます。
どうかこの美しい国王夫妻が、このままお国の中身も変わらずに美しく統治されて行かれるようにと願ってやみません。

ブータンの美しい景色は、私がいつも拝見している糸井重里さんのサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の「ほぼ日アンコール」を開いて「黄昏ブータン」をご覧になると、写真がいっぱい載っています。

この秋は寒暖の差が激しいですね。早くも街路樹のイルミネーションに年末の気分をせき立てられますが、皆さまどうか風邪など召されずに過ごされますように。
mitakamatu

# by mitakamusasino | 2011-11-20 19:14 | ニュース  

ちはやふる

秋の夜長のおともに、コミックなどはいかがでしょうか?
10月4日の深夜からアニメも放送開始になった「ちはやふる」です。

ちはやふる_d0076971_2224852.png

一昨年の朝の情報番組で、「ちはやふる」を知ってる?とアナウンサーが女子高生に尋ねていました。「百人一首のマンガよね~」と答えていたのを聞いて、百人一首のマンガなら読んでみようと「ちはやふる」に興味がわきました。
でも、「なぜテレビの情報番組で取り上げるほど話題になったの?」ちはやふる_d0076971_22263588.jpgと疑問に思って調べると、「全国の書店員、マンガ読みが選んだ 2009年マンガ大賞受賞」。ナルホドです!
 題材は『競技かるた』。
競技かるたについてまったく知識がなかったので、インターネットで調べました。
『小倉百人一首を用いて、社団法人全日本かるた協会が定めた規則に則って行う競技である。最高峰の大会は、毎年1月に滋賀県大津市の近江神宮において行われる名人位戦と女性部門のクイーン位戦で、勝者はそれぞれ名人・クイーンと呼ばれる。』
毎年お正月に放送されている、スポーツのようなかるた大会のことですね。
「ちはやふる」のタイトルは、主人公の名前、ちはや(千早)と小倉百人一首17番の在原業平朝臣の歌を掛けています。
「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 から紅に 水くくるとは」
マンガでは、小学生の主人公たちが百人一首と出会い、競技かるたの面白さに目覚めていきます。彼らが高校生になり、かるた部を作り、仲間ができて、競技に参加するための練習風景や競技の場面が事細かに描かれています。
百人一首がなかなか暗記できない主人公に、「百人お友達ができたと思って仲良くなりなさい」とかるたの先生が言うのです。私自身も同じ気持ちになってしまいました。でも、いまだに仲良くなれていません。

競技かるたのルールや専門用語もマンガの中に出てくるので情報になります。
百枚あるから全部を使うのだと思っていました。50枚しか使わないのですね。だから空札もあるし、お手付きをすることもあるのです。そんなことも知りませんでした。
かるたの基本用語もあります。
『決まり字』は、そこまで読まれればその札だと特定できる字のこと。『友札』は、途中まで決まり字が同じ札のこと。『大山札』は、決まり字が6文字の札のこと。
競技かるたにも個人戦と団体戦があることも知りました。団体戦は5人で戦い、3勝した方が勝ちになります。団体戦の場合は、組み合わせも勝敗に繋がります。どんなスポーツも同じかもしれないですが、他の団体の情報収集も勝敗に繋がる大切な活動なのです。
北海道の方では一般的だという、「下の句かるた」がマンガに出てきました。下の句を読んで、下の句をとるかるたです。
わが東京パソコンスクールの室長は、北海道出身です。尋ねてみました。「小さいころ、おっきな木の札でやりましたよ」とエピソードを話してもらいました。

コミック「ちはやふる」は、現在14巻まで発売されています。アニメも放送中です。
アニメになったことで、読手(どくしゅ)が札を読む読み方を、音としてきくことができるのがいいです。
テレビ放送をみのがしても、パソコンのGyaOで配信されていますので、興味のある方は、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

今年も本屋の店頭に、百人一首の本が並ぶ季節になりました。
百人一首の本と合わせて、「ちはやふる」も読んでみてはいかがでしょうか?
 カド

# by mitakamusasino | 2011-10-18 22:31 | 映画・テレビ・演劇  

10月のお勧めコンサート

台風が過ぎ去って、やっと本格的に秋が訪れた感のある今日この頃、みなさんにとっての「秋のイメージ」は何でしょうか? 個人的に強いのは「食欲の秋」・・・まぁ、それは置いておくとして、「芸術の秋」、そして、ちょっと珍しい、普段はあまり触れないような音楽はいかがでしょうか? そこで今回はこの秋に間近に聴ける音楽の話題をお届けしたいと思います。

まずは10月の毎週日曜日に開催される「文化園コンサート OTO NO MAHOU @ ZOO」。場所は井の頭自然文化園彫刻館B館(武蔵野市御殿山1、TEL 0422-46-1100
初回となる2日(13時30分~)は、のこぎりを使った世界的な「ミュージカルソウ」演奏家のサキタさんと、ピアノの山下憲治さんによるコンサートを開催。サキタさんは、CM音楽や映画音楽など多方面で活躍しています。
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もう一つのオススメは23日(13時30分~)は、「ウクライナの歌姫~ナターシャ・グジー コンサート~」。 ウクライナ出身のナターシャさんは6歳のときチェルノブイリ原発事故で被ばく。8歳のころにウクライナの民族楽器バンドゥーラに魅せられ、音楽学校の専門課程で学んだとのこと。 日本ではめったにお目にかかることの無いロシア楽器を堪能してください。

両日とも、入園料は、一般=400円、中学生=150円、65歳以上=200円(小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料)。コンサートの定員は200人で、全席自由。入場料は入園料のみになります。

そして、10月の15(土)・16(日)には東急田園都市線三軒茶屋駅界隈で、毎年恒例の『三茶de大道芸』が開催されます。 ここでの注目の音楽は、マリンバ演奏の Natsu & Kayo (出演スケジュールは公式HPにて参照)。 “マリンバ”とは木琴のことで、ここでは2人で1台のマリンバを演奏します。 レパートリーはクラシック音楽からアニメ主題歌までバラエティーに富んだもの。間近で見る超絶技巧は素晴らしいものです。

10月のお勧めコンサート_d0076971_15492097.gif

ちなみにこちらは「大道芸」なので基本的に無料ですが、素晴らしいパフォーマンスには大きな拍手と共に“おひねり”を忘れずに!

以上、ぜひこの機会に今まで聴いたことがないような新しい音楽に触れてみて、「芸術の秋」を満喫してみてはいかがでしょうか・・・?
  sonnet

# by mitakamusasino | 2011-09-26 12:57 | 音楽・絵画  

10年と半年とこの秋と

虫の音とともに朝晩はすっかり秋めいて、今日は中秋の名月となりました。
「明月」とはよく言ったもので、煌々と照っているお月様をずいぶん久しぶりに眺めて、
こんなに明るいものだったとは! と思いました。
とはいえ、今週の東京はまた厳しい残暑がぶり返して、熱中症で重態に陥った
部活動の中学生たちの話が伝えられているほどです。
やはり今年も、「暑さ寒さも彼岸まで」の名言に大きく納得することになるのでしょうか?

さて、9月に入って大型の台風12号が居座り、紀伊半島などに大きな爪跡を残しました。
皆さまの古里などに影響はありませんでしたか? 
被災地の方々には、ほんとうにお気の毒で、心からお見舞い申し上げます。

特に世界遺産にもなっている熊野古道や那智の滝の辺り、奈良県十津川の辺りなど、
豊かな自然に恵まれている所が被害に遭っているのを見ると、自然の有り難さと美しさと
怖さが思い知らされます。同じ自然災害の3.11もそうでしたね。
3.11では特に海岸沿いが、今回は山間の町の人たちが多勢被害を受けました。

今回12号以降の台風で、「土砂ダム」の問題が尾を引いており、警戒を解けないでいます。
「土砂ダム」という言葉は聞いたような聞かないような、私同様一体どんな「ダム」かな?と
思われた方はいないでしょうか。
人工のいわゆるダムではなくて、集中豪雨で山間を土砂などでせき止めてできて
しまった大きな池や湖状のものです。その成り立ちからせき止め力が脆弱なので、
たとえば、3年前の中国四川省の大地震のときや7年前の新潟中越地震のときにも、
大きな土砂ダムができて、周辺は決壊の危険性に怯え続け、何年もかかって
何十億もかけてやっと工事が完了したという話です。

詳しくはわかりませんが、この言葉、やはりまだ"生煮え"といいますか、メディアの媒体
によっても「土砂崩れダム」とか、「せき止め湖」とかいろいろで用語として確定している
とは言いがたいもののようですね。
以前は「天然ダム」といわれていたもので、何か美しいイメージになってはいけない?
というので、土砂ダムなどといわれるようになったとのことですが、どうもどれもまだ
ピンとこない用語ではあります。

10年と半年とこの秋と_d0076971_23402717.jpg

                       (asahi.com より 奈良県五條市赤谷地区)

今回の紀伊半島でも、夕立のような少しの集中雨で決壊の危険性がある土砂ダムが、
いくつもできているといいます。今夜もその恐怖に怯えながら眠れない夜を過ごして
いる人たちが多勢居らっしゃるわけです。
家を失い家族を失い、今も災害の只中にあって、続く痛みの中に居る人たち、それは、
アメリカ9.11の被害者遺族の方たちも、日本の3.11の被災者の方たちも同じです。
10年経とうが半年経とうが、実はいつまでも癒されない同じ思いの中にあるということが、
昨日、今日の多くの記念報道から伺い知ることができます。

同じ11だからと何か因縁めいたものを感じますが、しかし9.11はあきらかに人災で
あり犯罪ですから、その後の原発のことなどの人災の部分があるとはいっても、
やはり天災である3.11とはまったく性質の違うものです。
にもかかわらず、あの、現実のものとは思えなかった驚愕の9.11と3.11の事実から、
私たちは、私たちの世界を大きく変え、問い直すことを強いられたという意味では、
同じように受け止める人は多いのではないでしょうか。

9.11で3000人もの人たちが亡くなりましたが、その倍以上の米兵と、そのまた
何倍ものアフガン、イラクの無辜の民が悲惨な被害にあっています。
今こそ憎悪と復讐の連鎖を断ち切る人智を持って、人智では制御できないものには
畏敬の念を持って行きたいものです。

私たちの日常が日常であることに深く感謝しつつ、そうではない多くの地球上の人々と、
少しずつでも広く分け合って共に生きていく道を選んで行きたいと思う、この秋です。
  matuyon

# by mitakamusasino | 2011-09-12 22:18 | ニュース