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がんばろうニッポン!

仙台でも桜が満開になったとのことですが、東日本大地震に続く余震と原発の不安の中で、今年は桜を見る眼も例年と違うように思います。
今、改めて、変わりない日常が大変にありがたいということ、「明日が今日と同じ様に来る」とは限らないということを痛感いたします。今、私たちにできることは、日常を取り戻すこと、あらゆる集会、歌舞音曲を自粛することではなく、日常の経済活動を取り戻し、税金を払い、罹災された方々を支えることだと思います。私たちが暗くなっていたのでは、ますます日本は落ち込んでしまいます。

いまこそ音楽、演劇、美術、スポーツが必要ではないでしょうか。演出家で俳優の野田秀樹さん曰く、演劇は「ココロ」の問題だから必要なんだと、地震の4日後には公演を再開しています。
春のセンバツも開催され、初戦で敗退した東北高校の上村主将が「地元に帰ったら、また自分たちにできることをしたい」と言い、野球部員たちは、試合の翌日仙台にもどって、ボランティア活動を再開したそうです。また優勝した東海大相模高校の佐藤主将は、インタビューに、「大会の開催を許してくれた被災地の方々に、感謝の気持ちを持って」と応え、記憶に残るスピーチでした。最近は日本の高校生も素晴らしいスピーチをしますね。

今年の米国アカデミー賞は、前にここに書きましたフェイスブックの創業者の青春を描いた『ソーシャルネットワーク』を抑えて、『英国王のスピーチ』が受賞しましたね。国のトップの言葉の力がテーマで、欧米人がいかに言葉に命をかけているかがわかるようです。
一方、私たち日本人はというとどうでしょうか?

昔の話になりますが、1991年、新宿三越南館開館のイベントに、西欧の産業革命の頃の木製印刷機と日本語の聖書を印刷したものの展示がありました。
そこで目にした聖書、ヨハネによる福音書の冒頭「In the Beginning was the Word」(初めに言葉ありき)は「初めに道ありき」と訳され印刷されていました。当時「道」というのは流行りだったかも知れませんし、一つの聖書解釈かもしれませんが、「不言実行」とか、言葉より行いに重きをおく、情で以心伝心、空気を読む、水に流して腹に収め、忘れ去ることをもって善しとするという、日本人の考え方の現われとも言えるように思いました。

また「和をもって尊」の文化を持つ日本人は、農耕民族だからだといわれます。
1年一作を原則として、米が我々を支えてきました。耕作の手順は、時期を追っていくのが厳密に決まっています。ところが全員が協力してやっても、台風や大雨で収穫が皆無になると、それは責任追及できませんね。だから忘れる文化になったのです。
ところが狩猟民族や牧畜民族というのは、リーダーがいて、そのリーダーがいち早く良い草の生える所に群れを連れていかないと一族は死滅します。

あるいは、狩の世界ではリーダーと斥候(せっこう)と獣を倒すのと追い込むのと、というふうに役割分担が決まっていて、「俺は一番力が強いから獲物を仕留める役に!」という具合です。それで獲物を逃がしたら「お前の責任だ!」と後から追及できるんです。忘れる文化ではない、後から責任追及できる文化なんです。だから「言葉」が必要なのです。場合によっては命にかかわるわけです。

自覚することは意識すること、意識を自覚するのは言葉です。思いを「言葉」にすることに命をかける。特に感謝の言葉(謝辞)は大事ですね。感謝を言わなかったがために本当に命にかかわった事件がアメリカであったことを例に引いて、世界中でアメリカ人が最もよく感謝の言葉を口にするということを、新聞のコラムに書いている方がいました。人種のるつぼのお国柄ですから、どんな人にも感謝の言葉を自らかけなければ、摩擦が起きやすいということもあるのでしょうか。
最近の日本人は、相手の目を見て、はっきりと声に出してやりとりすることが苦手な人たちが増えているようですが、いくら日本人でも、やはりきちんと言葉にしなければ伝わりませんし、いい展開の生まれるいい空間になりませんね。

最近、この大災害の後、金子みすゞの詩「こだまでしょうか」がテレビで流れて、本も大変な売れ行きだそうです。私は、テレビなどで被災者の方々が、悲惨な状況に追いやられているにも関わらず、ちょっとした支援の手に、次々と「ありがたいです」と先ず感謝を述べている姿に、日本人、東北人の人としての品格や美しさを見る思いでした。こちらが心温められる思いとともに、なお涙を誘われたのでした。
逆に、「それは想定外のできごと」という一言で、もっとも大事な信用というものをなくしてしまった”専門家”もいました。おそるべきかな言葉、ですね。

そういえば、昔から日本でも、「言霊(ことだま)」という言い方がありました。言葉には、スピリット・魂が宿るということ、言葉は力を持っているということです。
不吉な言葉を言ってしまったりすると「鶴亀ツルカメ…」と言って打ち消したり、違う縁起のよい言葉に言い換えたりしたものですね! 「スルメ」ではなくて「当たり目」と言ったり、「おしまい」とか「散会」ではなく「お開き」とか…。

どちらにしても言葉で元気をもらえたり、とてもやる気をなくしたりしますから、何事も否定的な言葉やマイナスにつながる言葉を発しないように気をつけたいものです。
特にこの国難のご時勢には、意識して前向きの明るい言葉遣いをしましょう! みんなで「がんばろうニッポン!」と言いながら。
 mitakamatu

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 ICUの桜並木

by mitakamusasino | 2011-04-19 18:33 | ニュース | Comments(2)