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10年と半年とこの秋と

虫の音とともに朝晩はすっかり秋めいて、今日は中秋の名月となりました。
「明月」とはよく言ったもので、煌々と照っているお月様をずいぶん久しぶりに眺めて、
こんなに明るいものだったとは! と思いました。
とはいえ、今週の東京はまた厳しい残暑がぶり返して、熱中症で重態に陥った
部活動の中学生たちの話が伝えられているほどです。
やはり今年も、「暑さ寒さも彼岸まで」の名言に大きく納得することになるのでしょうか?

さて、9月に入って大型の台風12号が居座り、紀伊半島などに大きな爪跡を残しました。
皆さまの古里などに影響はありませんでしたか? 
被災地の方々には、ほんとうにお気の毒で、心からお見舞い申し上げます。

特に世界遺産にもなっている熊野古道や那智の滝の辺り、奈良県十津川の辺りなど、
豊かな自然に恵まれている所が被害に遭っているのを見ると、自然の有り難さと美しさと
怖さが思い知らされます。同じ自然災害の3.11もそうでしたね。
3.11では特に海岸沿いが、今回は山間の町の人たちが多勢被害を受けました。

今回12号以降の台風で、「土砂ダム」の問題が尾を引いており、警戒を解けないでいます。
「土砂ダム」という言葉は聞いたような聞かないような、私同様一体どんな「ダム」かな?と
思われた方はいないでしょうか。
人工のいわゆるダムではなくて、集中豪雨で山間を土砂などでせき止めてできて
しまった大きな池や湖状のものです。その成り立ちからせき止め力が脆弱なので、
たとえば、3年前の中国四川省の大地震のときや7年前の新潟中越地震のときにも、
大きな土砂ダムができて、周辺は決壊の危険性に怯え続け、何年もかかって
何十億もかけてやっと工事が完了したという話です。

詳しくはわかりませんが、この言葉、やはりまだ"生煮え"といいますか、メディアの媒体
によっても「土砂崩れダム」とか、「せき止め湖」とかいろいろで用語として確定している
とは言いがたいもののようですね。
以前は「天然ダム」といわれていたもので、何か美しいイメージになってはいけない?
というので、土砂ダムなどといわれるようになったとのことですが、どうもどれもまだ
ピンとこない用語ではあります。

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                       (asahi.com より 奈良県五條市赤谷地区)

今回の紀伊半島でも、夕立のような少しの集中雨で決壊の危険性がある土砂ダムが、
いくつもできているといいます。今夜もその恐怖に怯えながら眠れない夜を過ごして
いる人たちが多勢居らっしゃるわけです。
家を失い家族を失い、今も災害の只中にあって、続く痛みの中に居る人たち、それは、
アメリカ9.11の被害者遺族の方たちも、日本の3.11の被災者の方たちも同じです。
10年経とうが半年経とうが、実はいつまでも癒されない同じ思いの中にあるということが、
昨日、今日の多くの記念報道から伺い知ることができます。

同じ11だからと何か因縁めいたものを感じますが、しかし9.11はあきらかに人災で
あり犯罪ですから、その後の原発のことなどの人災の部分があるとはいっても、
やはり天災である3.11とはまったく性質の違うものです。
にもかかわらず、あの、現実のものとは思えなかった驚愕の9.11と3.11の事実から、
私たちは、私たちの世界を大きく変え、問い直すことを強いられたという意味では、
同じように受け止める人は多いのではないでしょうか。

9.11で3000人もの人たちが亡くなりましたが、その倍以上の米兵と、そのまた
何倍ものアフガン、イラクの無辜の民が悲惨な被害にあっています。
今こそ憎悪と復讐の連鎖を断ち切る人智を持って、人智では制御できないものには
畏敬の念を持って行きたいものです。

私たちの日常が日常であることに深く感謝しつつ、そうではない多くの地球上の人々と、
少しずつでも広く分け合って共に生きていく道を選んで行きたいと思う、この秋です。
  matuyon

by mitakamusasino | 2011-09-12 22:18 | ニュース  

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